食品製造分野で活躍するNMR分析

固体脂含量（SFC）は、パン、菓子類、マーガリンなどの産業で使用される食用油の品質管理に極めて重要なパラメータとなっています。しかし、従来の方法では、時間がかかり、正確なものではありませんでした。核磁気共鳴法（NMR）により、公的規格に準拠し、正確な食用油脂中のSFCを測定する方法が大きく変わることになります。

食品製造には、消費者の安全と健康を守るために何百もの規制が設けられています。ところが、科学者が特定の物質の有益性や有害性を認識するようになると、脂肪のプロファイルに関するアドバイスや法律は常に変化していきます。トランス脂肪酸は、以前は有益だと考えられていたものの、実際には冠動脈疾患のリスクを高めることが明らかになった物質の代表的な例です。トランス脂肪酸を減らすには、食欲をそそらせるような特性を失うことなく、製品を改良する必要があります。

特に固体脂含量（SFC）は、食品の味わいや食感に大きな影響を与えます。「口当たり」は、私たちが食べ物をどのように感じるかについて最も重要な側面の一つであり、それは製品に使用されている脂肪の種類に大きく左右されるものです。ある年代の方は、「ミルクチョコレートは手の中ではなく口の中で溶ける」という昔の宣伝文句を覚えているかもしれませんが、SFCが果たす役割のひとつは、お菓子に使われるさまざまな食用油の溶融プロファイルを決定することなのです。

また、食品をどの程度の温度で保存すれば、生産から流通まで安全性と品質を保てるかを見極めるのも、SFCの役割です。このように、SFCは食品の製造・保存方法だけでなく、より健康でおいしい食品を作るためにも重要な役割を担っています。

そのため、SFCを正確に測定することは、食品製造プロセスにおいて非常に重要な役割を担っていることになります。従来は、温度制御による材料の収縮・膨張を測定する熱分析法であるディラトメトリーが使用されてきました。しかし、これは時間がかかり、正確さに欠け、手間がかかる方法だと認識されています。そのため、多くの企業や研究所では、製品に含まれるSFCの正確なレベルを確認するために、NMRを利用しているのです。

NMR測定の手順は簡単です。サンプルを溶融後1時間かけて0 ℃まで冷却した後、各サンプルを適温まで加熱し、サンプルの固体と液体の両方が混合された状態における、NMR自由誘導減衰（FID）の信号を、8秒間のスナップショットで取得します。各サンプルについて完全な融解プロファイルが得られるまで、目的の温度ごとにサンプルの加熱と測定を繰り返します。

そのため、NMRは何十年にもわたって食品製造の業界で選ばれてきた方法ですが、適切な装置を見つけるのは難しいことです。プロセスは単純でも、関連するソフトウェアや技術的な装置も重要な役割を果たすことになるからです。

オックスフォード・インストゥルメンツのMQC+23 NMRアナライザーは、ラボが必要とするすべてのものを一つの洗練されたパッケージにまとめています。SFC測定用キャリブレーション、分析、レポート作成ソフトウェアが付属しており、測定プロセスを通じてユーザーをガイドし、サンプルの識別と測定温度の記録を保存します。統合されたSolid Fat Reporterソフトウェアにより、データの解析、プロット、他のプログラムへのデータエクスポート、溶融プロファイル曲線の作成が可能です。また、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、日本語のマニュアルが用意されています。

この洗練されたソフトウェアにより、ユーザーは温度の上昇に伴って変化する脂肪のプロファイルを正確に測定することができ、人的ミスを回避することができます。さらに、同じNMR装置とソフトウェアを用いて、食品中の油分や脂肪分など他の測定も可能になります。

NMRは、食用油中のSFCを分析するためのクリーンで迅速かつ信頼性の高い方法です。NMRは、正確な結果を得るための効果的な方法であり、トレーニングはほとんど必要ありません。

食用油のSFC含有量を測定する必要がある場合、オックスフォード・インストゥルメンツのMQC+23 NMRアナライザーを使用した分析は、まさに卓上という少ない設置面積で規格に準拠した、使いやすいソリューションとなります。

デモを通し、当社の革新的な測定ソリューションがお客様の業務をどのように改善できるかを確認するには、当社の専門家チームにご連絡ください。

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