X-Pulseを利用した食肉の特定

近年、悪徳業者が金銭的利益を不法に得るために、消費者向けの食品販売チェーンにおいて、不正な食肉の虚偽表示に関わる多くの不祥事が発生しています。2013年の有名な事例は欧州での馬肉不祥事で、「牛肉」と表示された食品にかなりの量の馬肉が含まれていることが発覚したものです。

このような不正行為に対抗するためには、信頼できる食品生産者と規制当局が、食肉製品が主張されているとおりのものであることを迅速かつ確実に確認する方法を自由に使えることが重要です。

食肉の種類を同定するための従来の方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および／または遺伝子配列決定ですが、非常に特異的ではあるものの、完了するまでに数時間かかります。酵素結合免疫吸着法(ELISA)試験もまた使用され、PCR試験より安価で迅速ですが、依然、当社の卓上型NMRによる方法よりも１試験当たり、高額となっています。

当社の卓上型NMRによる測定方法は、英国のNorwichにある食品研究所 (IFR) と共同で開発されました。この方法では、食肉標本から抽出された油脂の高分解能60MHz NMRスペクトルを分析し、食肉の脂肪酸組成を特定することができます。異なる種類の食肉は異なる脂肪酸プロファイルを示し、そしてこれらのプロファイルは試験されている食肉の種類を同定するために使用することができます。実際には、同じ種類の食肉の標本間にも一定の量の自然変動があるため、脂肪酸プロファイルを分類して自動識別するために計量化学的方法が開発されています。サンプル前処理を含む合計測定時間は、ほとんどのサンプルで通常5分以内、非常に脂肪分の少ないサンプルでは最大1時間です。

英国のNorwichにある食品研究所と共著のFood Chemistry（Elsevier）に掲載された論文は、Pulsar-60MHz ¹H NMRを牛肉と馬肉を区別するためのスクリーニングツールとして使用できることを示しています。

「オープンアクセス」論文をダウンロードするには、次のリンクへ： http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0308814614018391