Polymer Analysis

NMRにより大きく変わるポリマー分析

研究開発（R&D）から品質保証（QA）・最終的な品質管理（QC）まで、ポリマー製造プロセスの各段階では、正確な測定技術が求められます。卓上型核磁気共鳴（NMR）システムが、よりクリーンで、迅速、費用対効果の高い、物理的特性と化学組成の両方を分析できる方法を実現する、ということに気づいた企業が増えています。最近の装置の進歩により、ルーチンの反応モニタリングも可能になりました。

煩雑なウェットラボ環境から進化

高分子材料は、ヘルスケア（ドラッグデリバリー・インプラント材料・抗菌コーティングを含む）からハイテク建築材料・有機太陽光発電・燃料電池・電池などのエネルギーシステムに至るまで、ほぼすべての産業や用途において重要な構成要素です。

従来、ポリマー研究では、時間がかかり、熟練した技術者を必要とし、有毒溶剤を使用するラボ試験に頼っていました。このような複雑な試験環境では、必然的に分析がボトルネックとなり、生産ラインを滞らせてしまうことになります。一方、NMRは、より迅速で再現性の高い試験方法を提供し、製品の品質を保証し、ポリマー製造の経済性を向上させることができます。

研究開発の強化

研究開発の観点から、技術者は、原材料から最終製品に至るまで、生産のあらゆる段階で材料を研究できる柔軟な装置を必要としています。例えば、高性能TD-NMR（時間領域NMR）システムは、サンプルの微細構造を調べるため、分子移動度と拡散を測定するために使用されます。また、これらのサンプルは、ポリマー研究に不可欠な温度範囲で測定する必要があります。

MQR卓上型分析システムは様々な測定に対応でき、ユーザープログラミングとデータ分析ソフトウェアが付属しています。また、試料温度を変更できる温度可変オプションにより、測定範囲を広げることができます。高速でシンプル、危険な化学物質を必要としないため、研究開発環境に最適です。

品質管理の強化

ポリプロピレン中の可溶性キシレン種の割合を測定するために使用されるQC校正グラフ

品質管理に関しては、MQC+卓上型アナライザーは、ポリマーの結晶化度/密度や分子量などの材料の物理的特性を測定します。使い方は簡単で、最小限の準備で装置にサンプルを入れてボタンを押すだけで、数分以内に結果が得られます。

そのシンプルさは、ラボ技術者に特別なスキルやトレーニングを必要としないことを意味します。また、毒性のある溶剤を使用する必要がなく、非常に高速であるため、生産のボトルネックを取り除くことができます。

社内での化学分析

NMR技術は、ポリマーの化学組成を理解することになると特に有用です。しかし、このタイプの分光法では、企業は通常、高磁場NMRシステムでサンプルを測定することになります。これは当然のことながら、高価で時間がかかります。

そこで、当社は真の広帯域X核機能・フローケミストリー・反応モニタリング・可変温度と優れたスペクトル分解能を兼ね備えた卓上NMRソリューション「X-Pulse」を発表しました。これにより、研究室の「卓上」で幅広い実験を行うことができます。X-Pulseは、高い均質性と温度安定性を備えた60MHzの永久磁石を使用しているため、実験室に設置するのが容易で、液体ヘリウムなどの高価な冷媒を必要としません。X-Pulseは、標準的な5mmNMRチューブ、または使いやすいフローセルのいずれかと組み合わせて使用することができます。

このような分析を御自身の研究室で行った方がはるかに早いだけでなく、高磁場NMR装置を使用するよりも高い費用対効果が得られます。利便性・効率性・コストの完璧な組み合わせです。