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核磁気共鳴法(NMR)は、シンプルなコア分析を可能にするだけでなく、毛細管圧や流体の種類に関する重要なデータを、従来の方法よりも迅速かつコスト効率よく引き出すことができます。
そのような意味で、NMRは孔隙率や細孔サイズ分布を簡単かつ迅速に測定できる、非常に価値の高いツールと言えます。適切なソフトウェアと組み合わせて使用すれば、毛管圧や流体の種類を正確に決定できることに、多くのコア分析者は気づいていないかもしれません。
圧力レベルの評価
毛細管圧が高いと液体の抽出が難しくなり、その分コストがかかってしまいます。圧力レベルを評価するために、ラボでは通常2つの方法を採用しており、その中でも多孔質プレートは高精度のためのゴールドスタンダードとなっています。しかし、最も正確な結果が得られるのは間違いないものの、結果が出るまでに数ヶ月かかることもあるプロセスです。
一方、遠心分離機とストロボスコープを併用すれば、より短時間で測定できますが、それでも8~10点のデータを得るのに数日かかります。この方法は、オックスフォード・インストゥルメンツのNMRソリューションに匹敵するコストですが、そのNMRソリューションを活用すれば、さらに有用な情報を得ることができます。
当社の特許技術であるGIT-CAPは、従来の遠心分離機と、コアの軸に沿った1次元でのみNMR信号を記録する1-Dプロファイリングという技術を組み合わせて使用します。その結果、詳細にコアの長さに沿った流体の分布が測定されます。このプロセスをもう1回、遠心分離機の回転数で繰り返してから、データを分析します。毛細管圧は、遠心分離機の回転速度と飽和プロファイルの変化から計算されます。
この方法の利点は、必要な遠心分離機の回転数が2回だけであるため、通常かかってしまうような数日という時間ではなく、数時間で済むということです。また、最大40のデータポイントが得られるので、従来の遠心分離機+ストロボスコープよりも詳細なデータを得ることができます。さらに、ストロボスコープや液体回収容器が不要なため、より安価に利用することができます。すでにラボに遠心分離機がある場合は、GIT ソフトウェアを統合した当社の GeoSpec システムを追加することで、専門知識を必要とせずに毛細管圧分析を高速化、また改善させることができます。
含まれる流体の挙動を探る
コアサンプルの中に含まれる液体の種類を把握することは、厳密に言えば科学ではありません。実際、多くの石油業界の古参は、科学的方法ではなく、直感に頼っています。それは、すでに利用可能な信頼性の高い科学技術を知らないからに他なりません。
一例を挙げると、GeoSpec2+ NMR装置にパルス磁場勾配(PFG)アクセサリーを追加すると、コア試料内の液体の拡散、流動、分布に基づいた測定を行うことが可能となり、液体の種類の特定をより迅速かつ簡単にすることができます。
基本的には、NMR信号とは、液体(油やブライン)を磁場中に置き、高周波(RF)パルスのエネルギーで励起することで発生する信号になります。RFパルス印加直後からNMR信号が発生し、T2と呼ばれる特徴的な緩和時間、または減衰率で消滅していきます。その信号の振幅は、存在する液体の総量を示し、信号のT2は、液体の物理的環境に関する貴重な情報を含んでいることになります。
ところが、重油や部分的に結合した水など、異なる液体が同様のT2値を示すことがあり、どの液体なのかを特定することが困難となることがあります。しかし、T2値が似ていても拡散特性も似ているとは考えにくいため、T2データと拡散データの両方を収集する測定の場合、流体の種類を特定することは可能となるということです。
GIT Systemsソフトウェアと、NMR システム GeoSpec2+ の PFG アクセサリーを使用すると、このような測定が可能になります。その結果、サンプル中の異なる流体の相対的な割合を示す二次元のデータマップが得られ、これまで非常に困難だった油水比を可視化することができます。
分析のコアになり得るNMR
過去の記事で、NMRが基本的な試料分析を補完することを見てきましたが、今回、より高度なNMR技術が岩石内のより深い謎を解き明かすことができることが明らかになりました。NMRがどのように生産性を向上させ、分析を迅速化し、研究所のコストを削減できるかについて、より詳しい情報を知りたい方、またはデモを依頼されたい場合など、ぜひ弊社までご連絡ください。
関連情報:NMRによる岩石コア分析の進展