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創薬・開発

創薬開発において、NMR分光法は分子構造の解析に極めて重要な役割を担っています。NMRスクリーニング法は、低分子化合物の同定やヒット化合物の最適化において、信頼性の高い貴重なツールです。通常、化合物ライブラリーをスクリーニングして、特定のターゲットに結合する「ヒット化合物」(特定のリガンドなど)を探します。その後、NMR結合法によりヒット化合物を検証し、さらなる開発のために前進させることができます。ただし、これは一般的には高磁場NMRに限定されたアプリケーションです。

卓上型NMRは、低分子の正確な同定が重要な要素となる医薬品開発の後期段階や製造プロセスで威力を発揮します。すべての医薬品は、承認された「参照標準」の基準を満たす必要があり、NMRはこれらの基準を作成するために必要な情報を提供するだけでなく、中間体や最終製品が一貫して基準を満たすように工程内で適用されることが一般的です。

多くの場合、単純な一次元のプロトンスペクトルから、化学シフト、ピーク分割、積分値に基づいて構造を迅速に確認することができます。単純な低分子化合物の場合、この分析の多くは標準的なルーチンで自動化することができます。X-Pulseのような高性能の卓上型NMR分光計では、1次元および2次元の測定ができ、未知の分子の構造確認や全分子の構造解明も可能になっています。

一例として、薬剤であるゲムフィブロジル(IUPAC名: 5-(2,5-dimethylphenoxy)-2,2-dimethyl-pentanoic acid,化学式: C15H22O3)の分子構造を図1の左上に示します。この薬剤は、フィブラート系分子の一員として血中脂質を調節し、トリグリセリドとLDLコレステロール値を低下させ、HDL値を上昇させて心臓病のリスクを低下させます。図1は、1次元のプロトン 1H スペクトル(上)、デカップリング炭素 13C スペクトル(左側)、2次元の1H-13C HSQCスペクトルです。等高線でプロットしたHSQCスペクトルでは、水素原子核とそれが結合している炭素原子核のシフトに対応する化学シフトのピークを見ることができます(図中の矢印はその例を示しています)。1H-13C HMBCスペクトルを用いると、分子内の水素核と炭素核の間で作用する長距離の分子内結合相関を割り出すことができます。これらのスペクトルから得られるデータを組み合わせることで、分子の特徴的なピークを明確に特定し、活性産物の分子構造を確認することができます。

図1:ゲムフィブロジルの1Dおよび2D NMRスペクトル

アプリケーションノートでは、卓上型NMRによる分子の確認や反応中間体の詳細についてご紹介しています。

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